月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「その代わり、ヘイダル王の国を救ったあかつきには、クレハを私に譲ってくれないか?」

「えっ?」

ええ~!

私と一緒にハーキムさんも驚く。

「無理です。」

ジャラールさんは、きっぱり断った。

「無理?ヘイダル王の国を反乱から無事救い、ジャラール王子とネシャート王女の婚儀が終われば、精霊の使いの役目も終わるでしょう。クレハは自由のはずだ。」

「ヘサーム王子の仰る通り。だがクレハは、私のものでございます。」

「へっ……」

ジャラールさんのもの……

やばい。

う、嬉しい‼

顔が燃えるように熱い。


「なんだ。そう言う事か。」

ヘサーム王子は、ちらっと私を見ると、すっと背中を見せた。


「父上。お騒がせしました。」

「ああ、いい。」

「今からすぐに出立の用意を致します。」

「頼んだぞ。」

「はっ。」

ヘサーム王子は一礼すると、どこかへ姿を消してしまった。

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