月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
謁見の間を出た私達は、気まずい雰囲気に包まれた。

「驚いた。」

「驚きましたね、ジャラール様。」

ジャラールさんとハーキムさんが、難しい顔で唸っている。

「まさか、ヘサーム王子がクレハに興味を示すとは。」

「全くです。ヘサーム王子の奥様達は、この国でも10本の指に入る程の美女。それがまさか。」

二人でじーっと私を見つめる。

「へへへ。私ってもしかして、モテる?」

「馬鹿者!」

ジャラールさんが、私の額を指で押した。

「他の男に口説かれて、嬉しがっているものではない。」

「す、すみません。」

「今度他の男に口説かれたら、」

「口説かれたら?」

なんだかジャラールさんの表情が、いつもと違う。

「……クレハを、元の世界に戻さずに俺の手元に、一生置くからな。」

「えっ‼」

なぜかお互い、顔を真っ赤にして、見つめ合ってしまった。

それを見て、ハーキムさんが咳をする。

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