月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ヘサーム王子の元へ行って、軍が揃ったか見てくる。」

ジャラールさんはそう言って、向こうへと行ってしまった。

「どうしよう、ハーキムさん。」

「なんだ。どうした。」

「私、すごく幸せかも。」

両手で顔を押さえた。

「そんなにジャラール様が好きか。」

「えっ、あっ、まあ……」

叶わないと思ってた。

なのに、なのに、なのに!

「はああああ!」

幸せ過ぎてため息が出る。


「それはよかったな。」

心なしかハーキムさんの機嫌が悪い?

「悪かったですね。私のような身分違いの者が、ジャラールさんといい仲になっちゃって。」

「別によい。恋愛は自由だ。正式に妻に迎えるというのであれば、話は別だがな。」

その言い方にカチンと来る。

「何よ、その言い方。そう言えばさっき、ヘサーム王子の奥さんも美女とか言ってたわよね。さてはハーキムさん。女を容姿で選ぶタイプ?」

私の質問にハーキムさんは、白い目で私をじーっと見つめる。

< 142 / 354 >

この作品をシェア

pagetop