月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ジャラール様。」

ハーキムさんがジャラールさんを呼ぶ。

「ヘサーム王子の言う通りだ。」

ジャラールさんは、駱駝を降りた。

「兵士の気持ちを、もっと考えるべきだった。」

「ジャラール様……」

「部屋に帰ろうか。今日はゆっくり休まねば。」

「はい。」

元気のないジャラールさんと一緒に、私達は宮殿の奥へと入った。


この国のジャラールさんの部屋もまた、大きなものだった。

「この国では、ハーキムの部屋は隣にあるんだ。」

「へえ。」

広い廊下。

大きなシャンデリア。

たくさんの召し使い。

ジャラールさんは、この国でも特別な存在なのだと、思い知らされる。


「それはそうと、クレハの部屋なのだが……」

ジャラールさんが、少し改まった言い方をするから、ドキッとした。

「さすがに……同じ部屋と言うのは、難しいかな。」

私の呼吸も荒くなってくる。

< 145 / 354 >

この作品をシェア

pagetop