月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ハーキムさんは、ため息をつきながら、ターバンを取った。

私もしかして、尻の軽い女だと思われた?

そう思った途端、悲しく涙が出そうになった。

「別に。男の人なら誰でもいいわけじゃないもん。」

「はあ?」

溢れた涙を指で拭った。

「ジャラールさんだからだもん。ジャラールさんが好きだから、ずっと一緒にいたいんだもん。」


なのに、

なのに、

ひどいよ!この男!


すると隣から何かが飛んできて、顔に当たった。

でも全然痛くない。

「何これ。」

広げて見ると長い布だった。

「もしかして……ハンカチ?」

ハーキムさんは、照れながら反対を向いている。

「汗を拭く布だ。今回はすぐ帰ってきたから、そんなに使っていない。それなら涙を拭けるだろう。」

意地悪なんだか優しいんだか、分からないハーキムさん。

「ふふふっ。」

「どうして笑う!?」

その言い方がまた面白くて、涙を拭きながら笑えた。

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