月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ありがとうございます。ハーキムさん。」

少しだけ心が軽くなった。

「あっ、じゃあ先にシャワー、お借りしますね。」

私は立ち上がった。

「そう言えばその布、洗って干しとけよ。」

「は~い。」

何となくそう言ってくる気はしていた。

「それと……」

「はい?」

ハーキムさんに呼び止められた気がして、私は立ち止まった。

「本当はジャラール様とて、クレハと一緒に夜を過ごしたかったのだと思う。」

「えっ……」

今さら?

もしや慰めてくれてる?

「だが、今夜だけはどうしても、女性を寝所に呼ぶことはできぬのだ。」

「今夜だけ?」

「戦いに行く前の晩は、女性禁止なのだ。女を抱けば、士気は下がる。昔からの掟だ。」

そんな決まりがあったなんて。

そうか。

だからハーキムさんは、身分をわきまえない女って、言ったんだ。

知っている人は知っている。

戦いに行く掟を。

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