月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「はい。」

そしてハーキムさんは、珍しく私に微笑みかけてくれた。

「おやすみなさい、ハーキムさん。」

「おやすみ、クレハ。」

最も遠い部屋同士で、扉をお互いに閉める。

まるで、ホテルの一室みたいな空間。

簡易なシャワーが付いていて、トイレも一緒に完備されている。

贅沢だけど、誰が掃除するんだろう。

あっ、そうか。

お手伝いさんがするのか。

そんな、当たり前の事を気にする。

貧乏人の考える心配事だ。


服を脱ぎ、早速プライベートシャワーを満喫。

家のお風呂みたいにうっかり寝たら、それこそ大変な事になるな。

そんな事も考えながら、つかの間の癒しを楽しんだ。

誰もいない部屋。

自分の一人の空間。

いろんな事があったせいか、髪を乾かしベッドに横になると、早くも眠気に襲われた。


寝ちゃダメ。

また元の世界に戻っちゃう。

眠らないように我慢しなきゃ。

そう思いながら、ウトウトと夢の世界へと私は入っていった。

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