月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
部屋を出て、広い廊下に出ると、ハーキムさんはジャラールさんの部屋をノックした。

「ジャラール様。お迎えにあがりました。」

「ああ、入れ。」

「失礼します。」

ガチャっと扉が開き、中には既に準備を終えたジャラールさんがいた。

「おはようございます。」

「お、おはよう……ございます。」

ハーキムさんの真似をして、挨拶をする。

「おはよう、ハーキム。クレハもおはよう。」


ああ、朝から爽やかだな。

ジャラールさんは。


「よく眠れたか?クレハ。」

「は、はい。」

そこでハッと気づく。

私、この世界でぐっすり眠っていた?

元の世界に戻らずに?

何日ぶりだろう。

普通に眠るなんて。

「どうした?何かあったか?」

ハーキムさんに尋ねられ、何かが喉につかえている感じがする。

私は気になって、ポケットから碧の宝石を取り出した。

妖しく光る碧色。

だけどそれは、最後の輝きを懸命に放っているようにも見える。

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