月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ジャラールさん。」

「どうした?クレハ。」

「やっぱり、オアシスの精霊に会えないかな。」

ジャラールさんをじっと見つめる。

「遠回りになるのはわかってる。でも、どうしても会わなければならない気がして……お願い、ジャラールさん!」

必死な訴えが通じたのか、ジャラールさんは優しく私の腕に触れた。

「クレハがそう言うのであれば、オアシスの精霊に何かあったのだろう。ヘサーム王子に頼んでみる。」

「ジャラールさん!」

まだオアシスに行けるかどうかも分からないと言うのに、気持ちが軽くなる。

「よし!行こう!」

ジャラールさんの掛け声で、私達は広場に向かった。


途中で大きな庭が見えた。

向こう側で一組の男女が、別れを惜しんで抱き締め合っている。

「ヘサーム王子だ。」

ええっ!

思いがけない人に、失礼な程じーっと見てしまった。

「恐らくお相手は、奥さまだろうな。」

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