月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「命の保証ができないからだ。」

「それだけ?」

「それだけではない。女を連れて行けば、戦いの運気が下がるとも言われている。運悪く負けでもしてみろ。タンナーズ様は、生きて帰ることはできなくなる。」

「私は?私だって女よ。」

「クレハは今、精霊の使いだ。女神扱いされている者を連れて行ったとて、武運が下がるとは誰も思いはしない。それに……」

ハーキムさんは、そっと私の手に自分の手を、重ね合わせた。

「クレハは、俺が守る。」

優しくて強い目。

いやだ。

そんな目で私を見ないで。

私はハーキムさんに、背中を見せた。


「ヘサーム王子。」

ジャラールさんとヘサーム王子が振り向く。

「タンナーズさんを、連れて行く事はできませんか?」

「クレハ!」

後ろでハーキムさんが、怒鳴っている。

「精霊に会いに行く時、一人では心もとなくて。」

「そうであれば、私が一緒に行く!」

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