月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「それは王様も泣く泣くだったろうね。」

「泣いて馬謖を切ったわけか。」

光清とときわは、うんうん頷いている。

「え?泣いて、ば、ばしょく?」

一人私だけ、頭の上にクエスチョンマーク。

「有能な家臣を失いたくないけれど、国民の為には切るしかなかった。自分の涙を隠してね。」

「ふ~ん。」


ジャラールさんに近づいてきた王様の顔を思い出す。

寂しそうに笑っていた。

あれはそういう事だったんだね。


だとしたら、その後のジャラールさんに言った事。

ジャラールさんを、一度本当のお父さんに戻すって言って、ネシャートさんの結婚相手に申し込むって言ってた事。

もしかして……

ジャラールさんを離したくなかったのは、王様?

だから、違う人の子供だって分かっても、手元に置いて育てたの?

それをジャラールとネシャートさんの為に、自分の気持ちを断ち切って?


王様………

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