月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
数十分後には、兵士たちもいなくなり、水辺には私とハーキムさんしかいなくなった。

肝心の私はと言うと、まだ木の影に横たわっている。

「ごめんなさい、ハーキムさん。迷惑かけちゃって。」

「そんな事はない。今は速く体調を直すことだ。」

ジャラールさんと言い、ハーキムさんと言い、ホント性格のいい人ばかりだよ。

「クレハ、水を汲んでる。」

「水?飲める水があるんですか?」

「ああ。こういう場所は大抵、水が湧いている場所があるんだ。そこの水だ。」

「へえ。覚えておきます。」

私がそう返事をすると、すぐそこの水辺に水を汲みに、ハーキムさんは向かった。

きっと私がガバガバ水を飲むから、宮殿から持ってきた水が残り少なくなったんだ。


耳を澄ませると、ハーキムさんが水を汲む音が聞こえる。

そして次に、私が休んでいる木陰の上から、スーっと誰かが降りてくる音がした。

「ハー……」

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