月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ハーキムさんを呼ぼうとした時だ。

「動くな。」

低い声。

でもどこかで聞いた事があるような。

「食料を出せ。」

「持っていません。」

「出さぬと命を貰うぞ。」

「本当に持っていないんです。」

すると短剣が、私の喉に来た。


このままじゃ殺される。

あの時、無理にでもジャラールさんに付いていくべきだったかな。

するとまた聞いた事のあるような声。

「その者を離せ。」

水汲みから戻ってきたハーキムさんだ。

「お望みどうり離してやる。その前に食料を渡せ。」

「食料?」

ハーキムさんは一歩前に出ると、目を大きく見開いた。

「お前、ナディアではないか。」

「えっ?」

その問いかけに、私に短剣を突きだした人は、ターバンを取った。

「あっ!ハーキムではないか!」

「ナディア!なんでこんなところに!」

えっ?

ナディアって、あのナディアさん?

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