月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ったく!

だからハーキムさんは苦手なのよね。

「さあ、行くか。皆の元へ。」

「ああ。」

ハーキムさんの掛け声で、駱駝は走り出した。


「ここから宮殿の跡地までは、どのくらいで着くの?」

「そうだな。日暮れまでにはなんとか……」

二人の走るスピードは、気持ち急ぎ目だ。

先に行ったジャラールさん達は、もう着いたのかな。

「ハーキム。宮殿の跡地に行くのか?」

「ああ。ヘサーム王子の援軍は、今夜そこで一泊する。そこで明日の計画を練るのだ。」

「ヘサーム王子は、信頼できる人物か?」

「全く信頼できぬと言うわけでもない。自分がサマド王の国を継いだ時の事を考えて、ジャラール様と友好を築こうとなさっている。今回援軍の指揮官を申し出たのも、その為だ。」

「自分から名乗りでたか。」

「だがその一方で、サマド王がジャラール様を可愛がっておられる事を、快く思っていないようだ。」

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