月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「サマド王の王子は、第一王妃アギフ様がお産みになったヘサーム王子、ただ一人。そこへ隠し子が突然現れたのだ。当然と言えば当然か。」

「ああ。しかもサマド王は、わざわざヘイダル王の留守を狙い、国を滅ぼしてまでジャラール様の母君、マリヘフ前王妃を奪ったのだ。そんな女性が産み落とした王子が同じ宮殿にいるなど、アギフ王妃も心中穏やかではないだろう。そんな母君の気持ちを考えれば、ヘサーム王子の態度は、尚更だ。」

「なるほど。あくまでうわべの友好関係か。」


ハーキムさんとナディアさんの会話を聞いて、また悲しくなる。

ジャラールさんも、

ヘサーム王子も、

ヘサーム王子のお母さんも、

そしてジャラールさんのお母さんも、父である王様も、

サマド王の自分勝手な欲望の為に、犠牲になった人達なのだ。


「しかし、そのマリヘフ前王妃を奪った場所に行くなど、誰が申したのだ。」

「ジャラール様だ。」

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