月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
二人の荷物を持ってヨロヨロしている私に、ジャラールさんが、後ろから支えてくれた。

「クレハ。以前、ここに来た事を覚えているか?」

「えっ?ここ?」

私は辺りを見回した。

するとどんどん、記憶が甦ってくる。

ここ、初めてジャラールさんとハーキムさんと、野宿したあの石の宮殿だ。

「あの外が見える場所が、以前泊まった場所だ。あそこで、私を待っていてくれ。」

「はい。」

ジャラールさんは甘い笑顔を見せてくれると、ハーキムさんとナディアさんを連れて、奥に奥にと行ってしまった。


残された私は一人で、外が見える窓っぽいところを目指して、歩き出す。

周りにはヘサーム王子の兵士達が、ところ狭しと今夜寝る場所を確保している。

こんなところで今夜、ジャラールさんは本気で寝る気なのかな。

そう思いながら、二人の荷物をよいしょと置いた。

「よお、姉ちゃん。」

話しかけられた方向を見ると、そこには若い兵士が、数人いた。

< 192 / 354 >

この作品をシェア

pagetop