月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「大丈夫?」

私の元に来たタンナーズさんは、私の知ってるタンナーズさんだった。

「悪い奴等じゃないんだ。ただ、若い女を見ると、すぐ口説く癖があってね。」

タンナーズさんは、私の肩を支えてくれながら、側に座らせてくれた。

「クレハの寝る場所は、ここかい?」

「はい。ジャラールさんと、ここで会う約束をしていて……」

「そうか。だったら、ジャラール王子が戻ってくるまで、私が側にいてあげるよ。」

宮殿にいる時とは、人格が変わっているような気がする。

「タンナーズさん……なんか印象が違うみたい。」

「ははは。宮殿ではね、他の人の目もあるから、多少綺麗な言葉を使うようにしてるのさ。」

どうやら、こっちのタンナーズさんの方が、地らしい。

「そうしなければ、私を選んでくれたヘサーム様にも、悪いだろう?」

ニコニコしながら、そう言ったタンナーズさんは、被っていたショールを外した。

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