月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「私は元々、宮殿の外にある商人の娘でね。ショールを売っていたところを、お忍びで来ていたヘサーム様と出会ったんだ。」

「へえ~。」

どうしよう。

私、そういうお話、大好き。

「ヘサーム様はモニーレフ様のショールを探していてね。私が選んで差し上げたんだ。その時に私の分もお買い求めになって下さって……それがこのショールなんだけどさ。」

タンナーズさんは、ヘサーム王子に選んで貰ったショールを、嬉しそうに見せてくれた。

「私達商人は、自分達の売り物を買えるだけのお金なんて、持ち合わせていない。だから、ヘサーム様に贈り物だと頂いた時には、天にも昇るような気持ちになったよ。」

タンナーズさん達や兵士の皆さんが、普段は慎ましい生活をしているのが、それで想像できた。

「そこから、毎日のようにヘサーム様が、私に会いに来てくれてね。私を恋人にしてくれたんだ。」

嬉しそうに語るタンナーズさんを見ると、彼女もヘサーム王子が好きなのかなって思ってしまう。

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