月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「タンナーズさんは、ヘサーム王子を好きなんですね。」

「好きだなんて、恐れ多いよ。私はただ、あの方の側にいられれば、それでいいのさ。」

照れながらそんな話をしているタンナーズさんを見ると、この細やかな恋が、ずっと続いてほしいと思った。

「クレハは?どうやって、ジャラール王子と、出会ったんだい?」

「私は……」

そこでハッと、口を覆った。

まさか、日本からいきなり砂漠にトリップして、死にかけていたなんて、絶対信じないよ。

「……砂漠で迷っているところを、ジャラールさんとハーキムさんに、助けてもらったんです。」

「へえ。あの二人に。で?なんでジャラール王子だったのさ。」

「えっ?なんで?」

「だって、ハーキムさんだって、いたんでしょう?私から見たら、ハーキムさんも中々の男前だよ?」

それを考えると、不思議な気持ち。

二人とも親切にしてくれた。

ハーキムさんは若干、口が悪いけれど、再会してからは誤解するような言葉も、たまに言ってくれる。

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