月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「分かった。」

「紅葉?」

体が光清から離れる。

「私、ジャラールさんの事なるべく早く忘れるように努力するから。光清、側で待っててね。」

「それって……」

私も作り笑いをした。

「うん。光清の彼女になる。」

「紅…葉……!」

そして再び、光清の腕の中に戻される。

「ありがとう。ありがとう、紅葉!」

光清にぎゅっと抱き締められる。

「俺、紅葉の事、大事にするから!寂しい思いなんて絶対させない!」

「うん……」


ありがとう、光清って言いたいのに、言えない。

“ありがとう”よりも、“ごめんなさい”の方が、多いような気がして。


「紅葉……」

耳元に光清の囁き声。

「ん?」

少し体を離して光清を見ると、私の顎に光清の指が触れる。

顎を少し上げられ、近づく光清の唇。

こ、こ、これは!

テレビで見た、“顎クイからのキス”!?

光清!

この技をどこで!?

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