月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「クレハ……」

ジャラールさんの深い瞳の中に、私が写る。

「君を、愛してる……」

甘い言葉を囁かれ、私とジャラールさんの唇が、徐々に近づいた。

目を閉じると、柔い唇が私の唇を、覆いつくす。

その時だった。

ジャリっと言う音が、口の中から聞こえてきた。

お互い、唇を離す。

「……どうやら砂嵐で、口の中が砂だらけのようだな。」

残念そうに言うジャラールさんが、なんだか可愛く見えて、私は思わず笑ってしまった。

「……そんなに、笑う事か?」

「だって……だって!私、ファーストキスだったのに…クククッ……」

あっ、その前にハーキムさんに、口移しで水を貰ったけれど、あれは無しでいいや。

「すまん……初めての口づけで、いい思い出を作れなくて。」

「ううん。最高の思い出になったよ。口の中、砂の中でいっぱいって……」

たぶん、一生忘れないと思う。

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