月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
私が恋したジャラールさんは、本物?

それとも、身代わりの偽物?

「身代わりと言っても、大した事はない。近くにいた兵士の中で、背格好が似ている者に、自分と同じ格好をさせただけだ。」

ガクッと、今度は前に倒れる私。

そんな事で、誤魔化せるなんて。

どんな警備体制なの?

ハーキムさんもナディアさんも、どうして気づかないの?


「だとしたら、一刻も早く援軍に戻って下さい。ジャラールさん。」

「そうだな。」

ジャラールさんは、私の手を掴み、立ち上がらせてくれた。

「クレハが言っていた、碧のオアシスを訪ねてから、二人で急いで戻ろう。」

吸い込まれそうな瞳が、私を捕らえて離さない。

「もう一人で行かせぬ。クレハが行くところは、俺も一緒に行く。いいな?」

そんな事言われたら、『はい。』としか、言えないじゃないか。

ずるいんだもん、ジャラールさん。

「それにしても、駱駝を失って……」

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