月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そう言ってジャラールさんは、ある一点を見つめた。

「いた。クレハが乗っていた駱駝が。」

「えっ?本当?」

嬉しくなって振り返ると、どこにも駱駝の姿はない。

「……どこ?」

「ほら!あそこだ!」

ジャラールさんが指差した場所を見たが、一面の砂漠しか見えない。

「見えぬのか?あの砂山の向こうにいる駱駝が。」

私は目をパチクリさせた。

あの砂山の向こう?

「……案外目が悪いんだな、クレハ。」

「はははっ!」

逆にどれだけ目がいいんですか!


「どうしようかな。あの駱駝を追いかけるよりも、碧のオアシスへ歩いた方が早そうだな。」

ジャラールさんは、額に手を当てて、周りを眺めている。

「この近くなんですか?碧のオアシス。」

「うん。ここまで来れば、あと一息だ。歩いてならそれこそ、今日中には辿り着けそうだ。」

「今日中?」

まだ太陽が真上にあるって言うのに、どれだけの距離を言ってるんだ!

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