月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「どうした?クレハ。疲れたか?」

「さすがに……」

砂漠の中を歩き始めて、たぶん数時間。

足は砂に取られ、体力は暑さに吸い取られる。

「そうだ、クレハ。俺の背中に乗れ。」

「えっ?」

ジャラールさんは、腰を下ろして、私をおんぶしようとしている。

「そんな!結構です!」

「遠慮するな。他には誰も見ておらぬ。」

「いやいや。大丈夫です。自分で歩けます!」

「そうか?」

ジャラールさんは、私をおんぶすることを諦めてくれたけれど、マジでやばかった。

おんぶされて、『この女、見た目より相当重いな。』なんて思われたら、この先生きていけない。

「あっ、水……」

よく考えてみたら、私、水筒は駱駝にくくりつけた荷物の中に入れていた。

あ~あ。

肩からぶら下げておけばよかった。

そう思った時だ。

「ほら。」

ジャラールさんが、自分の水筒を貸してくれた。

「……有り難うございます。」

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