月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ハーキムさんはまた駱駝に乗ると、遥か遠くに見えるらしい駱駝を追って、行ってしまった。

「はあ……ハーキムさん。様様ですね。」

「本当だな。ハーキムがいないと、俺は生きていけぬ。」

さらりと言ったジャラールさんの言葉に、また良からぬ想像が!!

いやいや。

今回は、想像する前に振り払おう。


「さあて。では碧のオアシスへ行こうか、クレハ。」

「はい!」

そしてジャラールさんを二人で、小高い丘を駆け降りる。

すると、サァーッと気持ちいい風が、オアシスから吹いてきた。

「なんだか、この一帯だけ違う空気みたい。」

「ああ、そうだな。」

砂漠の中なのに、暑いわけでもなく、涼しすぎるわけでもなく。

心地いい気温が、辺りを埋め尽くす。

灼熱の砂漠を旅してきた人達にとっては、本当に生き返る場所なんだろう。


一歩一歩、碧のオアシスへ近づく。

するとジャラールさんが、オアシスの異変に気づいた。

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