月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
何も言わず、水から上がったジャラールさんは、一言ボソッと呟いた。

「……いなかった。」

「えっ……」

「どこを探しても、会えなかった。」

そんな……

私は緑のペンダントを、ぎゅっと握った。

木の下に座ったジャラールさんは、三つ編みの長い髪をほどいて、髪を乾かしている。

「ジャラールさん。私が……水の中に潜ってみていい?」

ジャラールさんは、顔を上げた。

「クレハが?」

「一度だけ。一度だけでいいから。」

ジャラールさんは、私が持っているペンダントを、見つめた。

「そうだな。クレハだったら、精霊も会ってくれるかもしれない。」

私は服に、手をかけた。

すると、ジャラールさんが目をパチクリさせながら、私を見ている。

はい。

ヤバイところでしたよ。

ジャラールさんの前で、下着姿になるところでしたよ。

私は服を直し、ゴホンっと、咳を一つした。

「……じゃあ、行ってきます。」

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