月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
その時、駱駝の足音が聞こえた。

「遅くなりました、ジャラール様。」

ハーキムさんが、駱駝を連れて、戻ってきた。

「ご苦労だったな、ハーキム。」

「いえ。」

ハーキムさんは、駱駝の手綱を木の枝に括りつけ、ボーッとしている私を見つけた。

「どうしたのですか?クレハ。」

コソッと、ジャラールさんに聞く。

「うん……オアシスの精霊に会いに行ってから、あのような様子なのだ。」

「オアシスの精霊?クレハに会ってくれたのですか?」

「そのようだ。」

小枝を集めたジャラールさんは、私の近くに薪を置いて、火を付けてくれた。

「そう言えば、ジャラール様。夕食は?」

「缶詰を持って来た。」

ジャラールさんは、荷物から数個の缶詰を出してくれた。

「クレハ、夕食だ。」

ジャラールさんに缶詰の一つを差し出されたけれど、何かは覚えていない。

「クレハ。せっかくジャラール様が……」

「まあ、いい。ハーキム。」

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