月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
塞ぎこんでいる私を、ジャラールさんは、そっとしておいてくれた。

でもそんな私を見て、ハーキムさんは放っておいてはくれなかった。

「クレハ。落ち込むのはいいが、ジャラール様に心配をかけるのは、どうかと思うな。」

「ハーキム、よせ。」

ジャラールさんが、ハーキムさんを止めた。

「尤も。そうやってジャラール様の気を引こうとしているのであれば、もう放っておくが?」

誰が気を引こうとしているですって?

ホント、人の気も知らないで。

私は腕の隙間から、ハーキムさんを睨んだ。

「で?そろそろ、なぜ落ち込んでいるか、ジャラール様と私に、教えてくれてもいいのではないか?」

ハーキムさんの言う通り。

私が一人で落ち込んでいても、解決にならない。

私は火が付いた薪に足を向けると、ジャラールさんから貰った缶詰に、手をつけた。

「美味しいか?」

「……美味しい。」

ジャラールさんの優しい話し方が、私の心を解きほぐしてくれる。

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