月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「精霊は、やっぱり力が弱くなっているって、自分で言ってた。」

私は精霊に聞いた事を、つらつらと、話し始めた。

「それは自分を守ってくれる一族が、滅んだからだって。」

「それはもしかして、我が母の一族の事か?」

ジャラールさんの言葉に、私はうんと頷いた。

「元々あのオアシスに住みついていた精霊の元に、一族の先祖が、近くに宮殿を建てたいって。建てさせてくれたら、ずっと一族で精霊を奉るって言われて、精霊はあの宮殿の跡地の場所を、教えたんだって。」

「……そうか。自分の存在に気づいてくれた事が、嬉しかったのか。」

「そう!」

その時の事を語る精霊の顔は、穏やかで本当に、嬉しそうだった。

「でもその事で、在らぬ噂が立ったって。」

「在らぬ噂?」

「一族の巫女を手元におけば、この辺一帯の地域を治める事ができる。」

私は精霊に聞いた言葉を、ジャラールさんとハーキムさんに伝えた。

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