月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
ハーキムさんも、俯いている。

「私もそれを精霊に伝えた。あなたがいなくなれば、ここを通るた旅人達は、どうすればいいのかって。でも……返事は聞けないまま、私は帰されてしまった。」

精霊との話の一部始終を、ジャラールさんとハーキムさんに話した。

後は、どうする事もできない。

「精霊が、クレハの話を聞いて、もう一度立ち直って貰えればいいのだが。」

「そう……ですね。」

見上げてみると、宝石のような星達の中に、大きな月がぽっかりと浮かんでいる。

どれくらい前から、旅人達はこのオアシスの畔で、この光景を見てきたんだろう。

それが、もう少しで無くなってしまう。

居たたまれなくて、胸が痛くて、悲しかった。

当たり前にある自然が、無くなってしまっていくって、なんて切ないんだろう。

「……このオアシスが無くなれば、クレハはもう、この砂漠に国へ来れないのか?」

ジャラールさんの質問に、ハーキムさんが目を大きくする。

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