月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「そんな……」

すると急に、地面に座り出したナーデルさん。

気の毒だけど、名前を知るだけで結婚してたら、この先何万人の人と結婚しなきゃいけないのよ。

「大体、名前を知っただけで結婚するなんて、今までどのくらい恋愛してきたんですか!」

「恋愛?……ない。」

「やっぱり。」

ちなみに私も、ジャラールさんと出会うまでは、全く経験無し。

「まあ、環境が悪かったんでしょうねえ。すぐに新しい彼女でもできるわよ。」

って、私が言うのも、何なんだけどさ。


「……ううっ。」


はうああああ!

泣いている!

美少年が泣いている!!

「初めて好きだと、思った相手だったのに。」

私の胸に、何かが刺さる。

「どうしてもその男ではないと、ダメなのか?クレハ。」

胸がズキズキと痛む。

人を振るって、こんなにも罪悪感たっぴりな事なんですか?

「ごめんなさい。ナーデルさんの気持ちは、物凄く嬉しいんだけど。」

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