月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ナーデル。ザーヒルは計画通り、ヘイダル王を追い詰めたぞ。これでこの宮殿は、我らの物に。」

誰?

ナーデルさんと誰かが話している。

「いや、この宮殿等、ザーヒルにくれてやる。」

「なに?ナーデル。何が目的だ?王女か?」

「王女?そんな物も欲しくはない。」

昨日の夜の、子供じみたナーデルさんとは違う。

「我の望みか?我は、この国が滅びれば、それでいい。」

「ナーデル……お前……そんなに、父親を恨んでいるのか。」


ドキッとした。

そう言えばナーデルさん。

お母さんは、捨てられたって、言ってたっけ。


「ナーデル。なぜアリアは、この林の中で暮らしていく事を選んだか、分かるか?」

「放浪の旅に出る事が、嫌になったんだろう?子供を連れて、旅に出るのは邪魔な事が多い。」

「違う!お前は勘違いしてるんだ!」

「黙れ!」

ナーデルは、相手に刀を向けた。

怖い。

途端に、私を拐った時の、あの鋭い目をしたナーデルさんを思い出した。

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