月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
この人は若くても、革命を起こそうとしている人。

父親であるこの国の王様を、恨んでいる人。


逃げなきゃ。

私は見つからないように、元の場所に戻った。

ジャラールさんに貰った、ショールがまだ、そこにあったからだ。

急いでショールを手に持ち、崖伝いに林の中を走ろうとした時だ。

「クレハ。」

後ろから、ナーデルさんの声がした。

「よく眠れたか?」

ナーデルさんは、私に貸してくれた布を、拾い上げた。

「うん……」

「今日は我の仲間を紹介しよう。」

「仲間?」

後ろを振り返ると、さっき林の中で、ナーデルさんと話をしていた人だった。

「テラーテだ。母、アリアの兄だ。」

「なんだ。こんな可愛い子が一緒だったのか。しかもアリアの話もしてるなんて。」

テラーテさんは驚きながら、私を見た。

「……クレハです。」

「テラーテだ。よろしくだ。」

微かに体が震える。

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