月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「テラーテ。用を足してくる。」

「ああ。彼女に見られないようにしろよ。」

「分かってるって!」

少し照れながら、ナーデルさんは林の奥に、進んでいった。

するとテラーテさんが、私の側に来た。


な、なに?

一歩、私は後ずさりした。

尚もテラーテさんは、私の腕を掴もうと、手を伸ばす。

「ひっ!」

「静かにしろ。」

テラーテさんに、口を塞がれる。

いやああ!

誰か!助けて!!


「元いた場所に戻れ。」

ナーデルさんの言葉は、意外な物だった。

「えっ?」

「そこから崖沿いを左に向かって、真っ直ぐ走れ。そうすれば、宮殿の左側へたどり着く。」

「テラーテさん?」

するとテラーテさんは、私の腕を離した。

「ナーデルが怖い思いをさせた。あの子は、悪い奴ではないんだが、周りが王子の隠し子として育ててしまった分、人への接し方が歪んでしまったんだ。許してやってくれ。」

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