月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
昨日の夜の、布を貸してくれたナーデルさんを思い出す。

「分かっています。」

「そうか、有り難う。さあ、ナーデルが直戻ってくる。急いで行け。」

「はい。有り難うございます!」

私は背中を向けると、一目散に林の中を駆けた。


助かった。

これでジャラールさんに、会えるかもしれない。

私はショールを持ちながら、必死に必死に、走り続けた。

開けた場所が見える。

朝、いた場所だ。

着いた!

あの崖の場所に辿り着いて、息を切らしながら、宮殿の後ろ側を見た。


「クレハ!クレハ!!」

林の中から、ナーデルさんが私を呼ぶ声が、聞こえてきた。

まずい。

このままでは、また捕まってしまう。

私はテラーテさんが言う通り、左へ曲がって、崖沿いをまた走り出した。

崖から見える宮殿が、奥側から左側へ、徐々に方向を変えて行く。

もう少しだ。

もう少しで、宮殿にたどり着く。

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