月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
すると崖の上に、私を追いかけて来たナーデルさんが、姿を現した。

咄嗟に木の影に隠れ、ナーデルさんが消えるのを、私は待った。

「クレハ!どこだ!クレハ!」

必死に私を探しているナーデルさん。

「ナーデル!もうここにはいない!別な場所を探そう!」

テラーテさんに抑えられても、ナーデルさんは動こうとしない。

「クレハ!宮殿には戻るな!あそこは危険だ!」

私は驚いて振り返る。

「ナーデル!」

「うるさい!離せ、テラーテ!クレハが危ないんだ!」


危ない?

あんな必死に、危険を知らせようとしているなんて。

どうすればいいの?

このまま、宮殿に行った方がいいの?

それとも、ここに立ち止まった方が?


ううん。

宮殿が危険なら、尚更行かなければ。

王様、ネシャートさん。

そして、ジャラールさんに、宮殿が危ない事を、伝えなければ!

私はテラーテさんが、ナーデルさんを林の奥に、連れて行くところを見計らって、また走り出した。

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