月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そしてジャラールさんが戻ってきた。

「ヘサーム王子には、このまま宮殿の入り口から、中に入ってもらう。我々は、裏口から行こう。」

「裏口?」

するとナディアさんが、私にウィンクをした。

「宮殿を出る時、通ったでしょう?」

「ああ!」

返事をしている間に、ジャラールさんに腕を引っ張られる。

その次に、ナディアさんとタンナーズさん。

そして一番最後に、ハーキムさんが並んだ。

走り去る時、まだこちらを見ているヘサーム王子を、見つけた。

今度はタンナーズさん、背中を向けている。


えっ?

って事は、私を見ている。

しばらく私を見た後、ヘサーム王子は、宮殿へと走って行った。

何事?

「クレハ!真っ直ぐ走れ!」

ジャラールさんに言われ、真っ直ぐ前を向く。

何だったんだろう。

ヘサーム王子の最後の行動。

「もうすぐで着く。」

何だか今日、走ってばっかだな。

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