月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「それでも、クレハを迎えに行けなかった事は、事実だ。」

握った手から、強い思いが伝わってくる。

「ううん。ジャラールさんがいなければ、援軍は動かないもの。私のところではなく、援軍の方に戻って、私は正解だと思う。」

「クレハ……」

「それに自分が来れないから、ナディアさんを来させたんでしょう?それで十分です。」

ジャラールさんの目に、私が映る。

好きな人の目に、自分が映っているなんて、すごくドキドキする。

「ゴホン。」

すぐ側で、ハーキムさんの咳払いがする。

「そういう事は、後ほど二人きりの時に、なさってください。」

「あっ、すみません。」

そうだ。

今は戦いの最中だった。

「そうだ。さっき言いかけた事。」

そこにいる皆が、一斉に私を見た。

「ザーヒルの後ろに、ナーデルさんという人がいます。」

「ナーデル?」

「その人は、ザーヒルを利用して、この国を滅ぼそうとしています。」


< 290 / 354 >

この作品をシェア

pagetop