月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「捨てた父親か……」

壁を叩いた腕とは別に、ジャラールさんの表情は、暗かった。

それは、そうだよね。

血は繋がっていないとは言え、育ててくれた王様を恨んでるとか言われれば、悲しくなるし。

それが血の繋がった子供にとなれば、余計に複雑だよね。

「ジャラール様。」

ハーキムさんがジャラールさんに、話しかける。

「例え、我が王と血の繋がった王子の可能性があっても、この国を滅ぼそうとする者は、我々の敵です。」

「ハーキム……」

「それに、この国の王子は、ジャラール様お一人です。この国を守っていくのは、ジャラール様しかおりません!」

それを聞いてジャラールさんは、ハーキムさんの肩を軽く叩いた。

「有り難う、ハーキム。そなたのおかげで、道を迷わなくてすんだみたいだ。」

「ジャラール様!」

表情が晴れたジャラールさんは、また宮殿へ進もうと、皆に言い出した。

「あ~あ。」

「どうした、クレハ。」

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