月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ところで、クレハ。ナーデルという者、最後に何か叫んでなかったか?」

ナディアさんの、時間を置いて思い出す技術、ある意味さすがだと思う。

「そう言えば……宮殿は危ないとかなんとか。」

「宮殿が、危ない?」

ジャラールさんが、振り返った時だ。

上から、ドォーンと大きな音が聞こえた。


「何事だ?」

立ち止まると、上からは悲鳴が聞こえてくる。

「ザーヒルの攻撃か?」

「ジャラール様、ザーヒル様の兵士は、東側から攻め入っています。西側まで攻撃が及んでいるとなると、我らの軍は、相当苦戦を強いられているのでは?」

ハーキムさんの言葉に、ジャラールさんは頷くしかしなかった。

どんな状況かなんて、宮殿に行かなければ分からない。

とにかく、急ぐしかない。

「クレハ。君は後からゆっくり来てくれ。」

「ジャラールさん?」

「タンナーズ殿。クレハを頼む。」

「はい。」

タンナーズさんは、私の腕に自分の腕を絡ませた。

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