月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「俺とハーキムとナディアで、先に宮殿へ向かう。すまない、クレハ。」

要するに、私がいればそれだけ宮殿に着く時間が、遅くなるって事。

そんな足手まといになるのは、私だって嫌。

「ううん。行って下さい。私は大丈夫ですから。」

「ああ。」

ジャラールさんは、私をそっと見ると、去り際私の頬にキスをくれた。

「後でまた会おう、クレハ。」

「はい、ジャラールさん。」

そして私とタンナーズさんの前を、ジャラールさんとハーキムさん、ナディアさんが駆けて行く。


「はあ。それにしても、ジャラール王子は情熱的ね。」

タンナーズさんが、ため息混じりに言った。

「うん。なんだか、こっちが照れてしまう。」

私がそう呟くと、タンナーズさんと一緒に、笑ってしまった。

しばらくして、どちらからともなく歩き始める。

「ヘサーム王子は、ああいう事はしないの?」

「してくださらないわよ。きっとお妃様に遠慮しているのね。」

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