月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「シッ!」

またもや、タンナーズさんに静かにするように言われる私。

“ごめんなさい”の代わりに、私は顔の正面で、手を合わせた。


その時だった。

下の大広間から、聞き慣れた声が。

「クレハ!」

階段の下を覗くと、ジャラールさんがそこにいた。

「ジャラールさん!」


思わず手を伸ばした。

「待て!今、そこへ行く!」

そう言ってジャラールさんは、階段を駆け上がってきた。

私も堪り兼ねて、階段を降りて行く。

「クレハ!」

「ジャラールさん!」

私達が再び抱き締めあったのは、途中の踊り場だった。

「よかった。無事で。」

「ジャラールさんこそ。怪我とかしてない?」

「ああ、大丈夫だ。」

体を離して、ジャラールさんの顔を見ている。

ああ、いつものジャラールさんだ。


会えてよかった。

本当によかった。

「そうだ。ジャラールさん。この階段を昇って、廊下に出たら、また上に昇る階段があるよね。」

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