月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「ああ。王族の政務室がある。」

「そこにネシャートさん達が監禁されているかもしれない。」

「なんだって?」

私の言葉に、上を向いたジャラールさんは、タンナーズさんが一緒にいる事も、知ったみたいだ。

「ハーキム!来てくれ!」

呼ばれたハーキムさんは、周りを見ながら急いで階段を駆け上がってくる。

「お待たせしました。」

階段を一気に駆け上がってきたって言うのに、全く息が切れてないよ、ハーキムさん。

「ネシャートがこの上の政務室に、捕らえられているかもしれない。」

「この上に?」

顔を上げたハーキムさんは、私とバッチリ目が合った。

「クレハ……」

「ははっ、どうも。ハーキムさん。」

こんな戦いの最中に、こんな場所でジャラールさんに会ってるなんて、またハーキムさんに叱られるのかな。

「怪我はないか?」

「えっ?私?いえ。」

「それは何より。」

一瞬、優しそうに笑ってくれた気がした。

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