月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そこには階段を優雅に降りてくる、ネシャートさんの姿が。

「クレハは、無事なのですね。よかった。」

今まで捕らわれていたと言うのに、私の事を心配するなんて。

「どうしたのですか?クレハ。」

「ネシャートさんっ!!」

私は思わずネシャートさんに、抱きついた。

ほのかに香るバラの匂い。

うわっ!

似合い過ぎる~!


「ネシャートさんこそ、怪我してないですか?」

「ええ。私は大丈夫です。」

ゆっくりと離れた後に、改めて気づいた。

ネシャートさん、少しやつれてる。

手首にも、縄で縛った跡が残ってるし。

ずっと座りっぱなしだったのかな。

膝も思うように伸ばせないみたい。

それなのに……


「ジャラールさん。もう少しネシャートさんの側にいてあげてください。」

「クレハ……」

「じゃあ、また後で。」

クルっと背中を向けた時だ。

誰かが私の腕を掴んだ。

「クレハ、私は大丈夫だと言ったでしょう?」

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