月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
そこには、王女と言うよりも、女王の威厳に満ちたネシャートさんが、立っていた。

「ジャラールも、私の事は構わずに、皆の元へ戻って下さい。」

「ネシャート……」

「私もしばらくしたら、皆の元へ参ります。」

たったそれだけの言葉に、どれだけの力を貰っただろう。

やっぱりネシャートさんは、この国になくてはならない人だ。


「ネシャート様!」

階段の上から、元気な侍女が飛び降りるように、駆け降りてきた。

「ラナー!」

「あっ!クレハ!」

久しぶりに合わせる顔に、心まで弾む。

「再会の喜びは、また後で。さあ、行きましょう。ネシャート様。」

何だよ。

再会のハグがあると思いきや。

そんなところ、ラナーだな~。


そんな事を思いながら、奥の部屋へと去って行くネシャートさんとラナーを見送る。

するとジャラールさんが、私の肩を掴んだ。

「俺は今からザーヒルを追う。クレハは、大広間にいてくれ。」

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