月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
その王様に気づいたのは、ジャラールさんだけではなかった。

「王……」

ナーデルさんは、急にジャラールさんから、刀を引いた。

そして一歩、また一歩、王様に近づいて行く。


まずい!

私とハーキムさんは、急いで階段を駆け降りた。

「我が王に近づくな!」

「うるさい!」

ジャラールさんに刀の先を向けたナーデルさんは、そのまま王様を睨んだ。

「そなたは誰だ?」

「ナーデルと申します。ヘイダル王、あなたにお聞きしたい事がある。」

私とハーキムさんが大広間に着いた時には、ジャラールさんも王様も、動けない状態にいた。

「我が王!」

「いいのだ、ハーキム。」

王様は冷静だった。

「なんだ。何なりと申してみよ。」

「13年前、あなたと恋人同士になった踊り子がいたはずだ。」

「踊り子?13年前?」

「とぼけないで下さい!」

ジャラールさんに向けられていた刀の先は、一瞬にして王様に方向を変えた。

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