月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「すまない。捨てたつもりはなかった。成年になって王族の仕事が急に舞い込んできたのだ。会いたくても会えなかった。そのうちアリアがいる劇団も、この国を去ったと聞いて、どうする事もできなかった。」

「なんだよ……なんだよ、それ……行き違ったって……言いたいのかよ……」

涙をボロボロ流しながら、ナーデルさんは、力なくジャラールさんを叩いていた。

ただそれを、じっと受け止めていたジャラールさん。

側にいた私とハーキムさんは、それを止める事もできずに、ただただ見守っていただけだった。


「ん?そう言えば……」

私はある重要な事に気づいた。

「ナーデルさん、まさかまだ13歳だったの!」

べそをかきながらナーデルさんは、こっちを向いた。

「ああ、そうだよ。だからどうした。」

「だからどうしたって、私、同じ年だと思ってた。」

「それはクレハが勝手にそう思っただけだろ!バーカ!」

< 322 / 354 >

この作品をシェア

pagetop