月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「はあ?バカ?バカはそっちでしょ!父親の名前くらい、聞いておきなさいよ!」

「聞く前に、母は亡くなったんだ!」

はぁはぁ言いながら、私と言い合いをしているナーデルさんを、ジャラールさんが片手で、抱き寄せた。

「辛い思いをさせた、ナーデル。」

「えっ……」

「今すぐ父親だと認めてほしいとは言わない。だが、これからは、そなたの父親として、側にいて構わないか?」

「うわああ!うううっ……」

ジャラールさんの言葉に感激して、鳴き始めたのはナーデルさんではなく、なんと一緒に付いてきたテラーテさんだった。

「よかっ……よかったな!ナーデル!」

涙をボロボロ流すテラーテさんを見て、ナーデルさんは悲しそうな顔をした。

「……気持ちは嬉しいけれど、我はテラーテから離れたくない。」

「何言ってるんだ、ナーデル!お前の本当の父親だぞ?ここにくれば、贅沢な暮らしができるんだぞ!」

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