月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
現実の世界に戻ってきて、一ヶ月過ぎた。

忘れようと思っても、忘れられない。

窓の外を眺めると、いないはずのジャラールさんやハーキムさんを探してしまう。

どうしてるんだろう。

一度、本当のお父さんの元へと、言われていたっけ。

ジャラールさん、必死に反論してて。

でもそれなら、ネシャートさんと結婚できるとか、また言われてたっけなあ。


ジャラールさん。

本当に隣の国へ行ったんですか?

確かめる術を失ってしまった私は、ただ問いかけることしかできない。


「紅葉。」

振り向くと、ときわと光清が立っていた。

「また図書室にいたんだね。」

光清が私の隣に座る。

「探したんだよ。」

更にときわが、光清の隣に座る。

「ごめん。心配かけて。」

私は、涙を拭いた。


「泣いてたんだ。」

「いや、目にゴミが入ったんだよ。」

ベタな言い訳に、ときわも光清も笑っている。

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