月夜の砂漠に紅葉ひとひらⅡ【完】
「どこまで、二人に話したっけ。」

いつまでも、落ち込んでいられない。

私も、二人に話すことで、気持ちが楽になるかもしれない。


「確か、紅葉が好きな王子様に、これまた好きな人がいるってとこだね。」

ときわは、鮮明に話を覚えていた。

「そんで、俺が引き留めるのも聞かずに、紅葉はその男の元へ行ったんだな。」

光清は、思い出して不機嫌になっている。

「で?うまくその王子様と再会したの?」

でも、二人ともワクワクしている。

まあ、その方が話しやすいけどね。


「うん、会えた。その前にハーキムさんに会ったんだけどね。」

「ハーキムさん!?」

ときわと光清は、お互い顔を見合せながら、必死にハーキムさんを思い出している。


そう。

私の代わりに地下牢に入っていたハーキムさん。

その後、ラナーに出会って。

ラナーに衣装を借りて、ジャラールさんを待つ女の人達の群れに、加わったんだっけ。

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